纏 開発ストーリー

「世界最高レベルのマスクを創る。」

2020年2月、社長から技術者たちへ、一つの命が下った。

さかのぼること3か月前(2019年12月)、中国の武漢で新型コロナウイルス感染症が発生。
この未知のウイルスは、2020年に入ると瞬く間に急拡大し、世界的流行(パンデミック)を巻き起こした。
日本でもマスクを着用するなどの感染対策が呼び掛けられたが、
マスクは世界的に品薄状態にあり、人々の生活に大きな不安が拡がっていった。

ROKIの技術者たちも、当たり前の日常が一瞬にして変わってしまったことに、さまざまな不安を抱えながら日々を過ごしていた。
そんな中で社長から告げられた“マスクを自社で創る”という新たな挑戦。
技術者たちの胸が大きく高鳴った。

さっそく技術者たちは、
開発チームを立ち上げ医療機関や研究機関へのヒアリングを始めた。
そこで、感染症と戦う最前線の現場でも、海外製の機能・品質に問題のあるマスクや、“国産”とうたっていても、その部材のほとんどが海外製で耳ひもだけを国内で取り付けたマスクが、不安を抱えながら使われているという事実を知る。

「このままではだめだ。一刻も早く、誰もが安心して使える純国産のマスクを開発しなければ。そして、生産まで一貫して自社で手掛け万全な品質で提供しよう。」
技術者たちの決意が固まった。

しかし、技術者たちに、解決しなければならないいくつもの課題が立ちふさがる。
最初に直面したのは、不織布や耳ひもなどの部材の問題。
世の中で調達できる部材の中に納得できるものはなかった。
「世界最高レベルを実現するためには、不織布や耳ひもも自ら創るしかない。」
部材の開発から行うと覚悟を決めた技術者たちは、度重なる比較検討や試作品の製作に、昼夜を問わず取り組むことになった。

その間も新型コロナウイルスは猛威を振るう。
2020年4月7日に初の緊急事態宣言が7都府県に出され、
4月16日には対象区域が全国に拡大された。

技術者たちは、原材料の特性にまでさかのぼり、70回目の試作を超えたころ、
ついにフィルター部分の仕様に目処がついた。
そして、息のしやすさも高次元で両立させた世界トップクラスの高性能フィルターが完成した。

だが、その後も課題は山積みだった。
最大の課題はマスクのすき間。市場で見かける多くのマスクは、フィルターの性能は
重視するものの、マスクのすき間には十分な対策がなされていない。
フィルターを通らず、すき間から侵入する飛沫などには無防備であった。

「どれだけ優れたフィルターがあっても、
すき間からの侵入を許してはマスクをする意味がない。」
そう考えた技術者たちは、この課題に独自の工夫で解決を試みた。

まず形状は、頬に出来るすき間をできる限り少なくするため、左右両サイド
を独自の形状にカットすることで、フィット感を高めた。
また、マスクのプリーツ(ひだ)も、頬やあごをすっぽり包み込む立体形状
にすることで、あご下のすき間を抑えると同時に、鼻や口の周りに呼吸や
会話がしやすい空間を作った。
ノーズフィッター(鼻押さえ)には、フィット感とキープ力に優れた
アルミを特別仕様にして採用した。

さらに、世界最高レベルのマスクを目指し、仕様の追及は徹底的に行われた。
マスク装着時の不快感を解消するため、肌に直接触れる不織布は肌触りが
やさしく、さらりとした着け心地の良いものを開発。
耳ひもは、耳にかかる負荷を軽減するために、糸の選定から編み方までこだわり、
伸縮性の高いソフトなひもを実現した。

“マスクを自社で創る”という社長の発言から1年が過ぎ、
新型コロナウイルスの感染者が世界全体で1億人を超えた頃、
ROKIはついにマスクの最終仕様を決定。
量産に向けた生産設備の最終調整に入った。

マスクの量産と並行し、公的機関による品質の認証作業も着々と進行。
アメリカの医療用マスクの材質規格(ASTM規格)で最高レベルの性能を確認するとともに、
食品医薬品局(FDA)の承認を取得した。
また、ほとんどのマスクで行われていない皮膚感作性試験、細胞毒性試験等の安全性に関わる
試験もクリアするなど、安心して使用できるマスクであることが証明された。

そして2021年7月15日、
いよいよ世界最高レベルを目指し開発した純国産高性能フィルターマスク「纏(まとい)」の発売が開始された。
「纏」という名前には、「身にまとい、つきまとう有害なものをフィルターで絡みとる」というマスクの機能と、
「禍(わざわい)の沈静化を願う旗印」という
ROKIの技術者たちの想いを込めた。

※不織布、耳紐の生産からマスクの組み立てまで国内自社工場で行う。

“人と社会の未来のために。”

「纏」の開発には、社会への貢献と安心安全な日常生活を取り戻すために、
技術者たちの持てる力と情熱のすべてが注ぎ込まれた。
その結果、マスク不足が解消された現在も、
リピーターのお客様から多くの喜びの声が寄せられている。

これからもROKIは、
より多くの人々が笑顔であり続けるために、新しい価値を創造し続ける。
かけがえのない未来のために、ROKIの挑戦は終わらない。